大臣の広汎な裁量権

電気用品安全法では販売した電気用品に問題があった場合、次のような条文が適用されます。

(危険等防止命令)
第四十二条の五 経済産業大臣は、次の各号に掲げる事由により危険又は障害が発生するおそれがあると認める場合において、当該危険又は障害の拡大を防止するため特に必要があると認めるときは、当該各号に規定する者に対し、販売した当該電気用品の回収を図ることその他当該電気用品による危険及び障害の拡大を防止するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

「必要な措置をとるべきことを命ずる」という非常に広汎な権限が与えられています。もし会社の体制が悪いなら「社長をクビにしろ」とも命ずることが可能ともとれます。

しかし、一方、行政事件訴訟法があり、そこでは

(裁量処分の取消し)
第三十条 行政庁の裁量処分については、裁量権の範囲をこえ又はその濫用があつた場合に限り、裁判所は、その処分を取り消すことができる。

となっていて、行政が無理な処分をすると裁判所はそれを取り消すことができます。ということで、いくら裁量権があっても、そこには自ずと限界があるということです。